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信太の森で思い出す事

先日訪ねた先でのお話の中に信太{しのだ}と言う地名が出てきたのが耳に入り「あの信太ですか?会いたくば訪ね来てみよの」と言うと「恋しくばたずね来てみよ」ってさり気なく訂正されました。何しろ六十年くらい前に聞いて記憶がおぼろになっています。

此の話は、昔安倍保名{あべのやすな}と言う人が池のほとりで、傷ついた狐が狩人に追われているのを逃がした事で自分が傷を負わされて苦しんで居る時に、若い女性が来て手当をしてくれて、共に暮らすようになります。やがて子供が生まれて六年目のある日、油断したのでしょう正体のしっぽを子供に見られてしまい、共に暮らすのもこれまでと、「恋しくば たずね来てみよ和泉なる 信太の森のうらみ葛の葉」の一首を残し信太の森へ去って行きました。

保名と子供は母を求めて森に行くと一匹の狐が涙なからにじっと見て居るのを見た保名は子供が恐がるから人間の姿になれと言います。森に帰った訳は、命を助けられ今までお仕えしたけど一度狐に戻ると人間界には戻れないと言い、子供への形見に白い玉を与えて狐の姿になって森の奥に消えて行きました。此の子供こそが成人して陰陽道の始祖・天文博士の安倍晴明{あべのせいめい}です。母の名は、葛の葉と言います。

此の物語を知ったのは、半世紀前になるでしょうか、三人組の漫才師が居て”葛の葉物語”を再現してくれて、舞台の上に出された障子に年輩の女性が筆にたっぷり墨をふくませ、この一首を達筆な字で書いていたのがとても印象的だったのです。男性と女性がが弾く三味線の音に合わせて三人の息がピッタリでした。昔の芸人さんは本当に芸が達者だったと今更のように懐かしく思い出しています。
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プロフィール

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M子
年齢:
94
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性別:
女性
誕生日:
1931/03/05
職業:
主婦
趣味:
DVD観賞
自己紹介:
05年10月10日から09年8月17日にかけての旧「M子のお花畑」の保管庫。
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